2017年5月25日木曜日

*ドールズ×渡辺えみさん インタビュー企画 2/4 えみさん→かえ

ドールズのお客さんである、ちぎり絵ライターの渡辺えみさん。
年に2回、「ポンポコパーティークラブマーケット」という手作り作家さんたちが出展するイベントを俳優の山脇唯さんとともに主催されています。
ドールズもポンポコパーティークラブマーケットの2回目に参加したことがあります。
いろいろご活躍されているえみさんですが、日頃から、ドールズ2人は、えみさんのインタビュー能力にも注目していました。
今回の企画では、えみさんから山本・上條それぞれにインタビューをしていただき、ドールズからも、えみさんにインタビューをしました。
そして、おまけ企画として、それぞれの谷中千駄木界隈で好きな食べもの(500円で買えるおいしいもの!)をご紹介します!

※4回に分けてブログに掲載いたします。



〈渡辺→上條へのインタビュー〉



W:美容師になろうと思ったのは、いつ頃ですか?

上條(以下、K):私の場合は、小学校の卒業文集に「将来、美容師になります」という宣言を書いていたんです。でも、美容室に行ったのは高校生になってからで、それまでは、母親か床屋さんで切ってもらっていて、美容室には行ったことがなかったんです。なのに、なぜか美容師になりたい宣言を(笑)。たぶん、美容室に行ったことがなかったから、憧れを抱いていたのかもしれません。

W:小学校の頃は、自分の髪の毛をアレンジしたりしていたんですか?

K:まったくやっていなかったです。基本かりあげで、アレンジとかにはまったく興味はなくて、中学校までは、もはや男子と同じで、兄と常に喧嘩している感じでした(笑)。

W:ご兄弟は?

K:兄と妹です。いつも男の子に間違えられていて、ほんとに疑問になるくらい、なぜか美容師を目指していました(笑)。

W:他にやりたい職業はあったんですか?

K:それがなかったんですよね。ずっと美容師になるというのを、なんとなく目標にしていました。

W:高校生に入ってからは、どんなヘアスタイルでしたか?

K:いろいろしていました。高校が自由な学校で、私服でカラーもピアスもオッケーで、パーマもグルグルにかけてみたりとか。でも、進学校だったので、今思うと、少し浮いていたのかなと思います(笑)。ファッションも路頭に迷っている感じで(笑)、ちょっと激しめだったり、ロックバンドに憧れてロックっぽい感じになってみたり。

W:好きなロックミュージシャンがいたんですか?

K:誰に憧れていたわけでもなく、自分の中でのロックっぽい感じに(笑)。

W:革ジャン着たりとか?

K:革ジャンは着ていなかったんですけど、服は好きでした。なので、古着屋さんに行ってイメージに近い服を選んでいました。

W:高校時代に東京へ遊びに行ったことは?

K:高校3年生の夏休みに美容学校を探しに、一週間、ウィークリーマンションを借りて来ていました。同級生で、東京の美容学校に行きたいという人がいたので、その人と2人で部屋を借りました。その当時、夏休みなどに美容学校を開放して、学生さんたちに見せてくれる場を設けていたので、そこに一緒に見学に行きました。

W:美容学校から就職する時は、いくつか受けたんですか?

K:行きたかった所を受けたんですけど不合格で、たまたまペーパードールの先生が私の学校に講習に来たことがあって、私は講習は受けていなかったのですが、人づたえにドライカットというカット技法でやっている美容室があったよという話を聞いて、興味を持って面接を受けに行きました。

W:それで、無事に合格して。

K:はい。

W:佳代さんと初めて会った時は、どんな印象でしたか?

K:就職先の美容室での顔合わせに行く途中、表参道駅から地上に出た所におしゃれな美容室があるのですが、そのお店の前で雨宿りしている女の子がいたんです。可愛い女の子だなあと思いながら、就職先の美容室に行きまして、座って待っていたら、あれ? あのこ来た!って、びっくりして。

W:それが佳代さんだったんですね。

K:そうです、それが佳代さんで、びっくりしました。

W:じゃあ、お互いに見初め合ったという。

K:はい(笑)。

W:美容室で働き始めの頃は、早く髪を切りたいという気持ちがありましたか?

K:そうですね。入社すぐは、まず掃除で、掃除をしている時は、お客さんに触れることはほとんどなかったので、早くお客さんに入りたいなというのはありました。カットではなくてもシャンプーとか。3人いたので仕事がなくて、誰が一番にその仕事をやるかによって手が空いちゃうので、常に、次、何したらいいんだろうって思っていました。

W:初めて切ったお客さんのことは覚えていますか?

K:覚えています。顔はまったく覚えていないんですけど、髪質と男性だったということは覚えています。

W:髪質はどんな感じでしたか?

K:硬かったんです、すごく。基本は男性から入らせてもらうんですけど、その時に思ったのが、男性の方が難しいんじゃないかって。やっぱりショートで硬い毛だと、自分が切ったシルエットがそのまま出てしまうので、切りながら、あ、どうしよう、と思っていて、会話も覚えていないですね。

W:初めての時は、髪質は覚えていても、何をしゃべったかは、あまり覚えていないものなんですね。

K:まったく覚えてないですね。会話はしてたのかな…?

W:無言ではやらないですよね?

K:無言になるのが怖い感じですね。しゃべって相手の気を紛らせるみたいな(笑)。

W:美容師さんは、しゃべりながら技術も磨かなければいけないから、2つのことを同時に求められて大変ですよね。おしゃべりが苦手な人もいるでしょうから、初めはやっぱり難しいですよね。

K:難しいですね。今でも、ここは絶対失敗できないという時には無言になって集中してしまいますね。あと、しゃべっていても、ちゃんと聞けていないんじゃないかと(笑)。

W:お店を佳代さんと一緒にやろうということになって、交換日記をされていたとのことですが、初めに日記をもらった時はどんな風に思いましたか?

K:お店で働いている時は、公にはそういう話はできないので、すごいナイスアイディア!
と思っていました。書くことで自分の気持ちも高めることができたり、相手の気持ちもわかるので、始めて良かったです。

W:日記はいつまでやっていたのですか?

K:独立するまでやっていたんじゃないかな。

W:独立したのは?

K:28歳です。師匠は2425歳で独立していて、いつかは一人立ちをしなければいけない職業だと言ってくれていたこともあり、独立するには、まずお金を貯めなければならないことも師匠が伝えてくれていたので、まずはこれぐらいの金額を目標にがんばろうみたいな話になりました。

W:資金も貯めて、しっかり準備して独立をしたんですね。

K:たぶん純粋だったんでしょうね(笑)。だから、師匠が言ってくれていたことを忠実にやらなきゃってなっていたのだと思います。

W:いろんな髪型を勉強すると思うのですが、自分なりに工夫などしていたことはありますか?

K:基本的には、自分がお店の商品であり看板なので、お店で髪を切ってもらっていたので、勉強となると、街の人を見たり、お店にあった美容雑誌を見たりしていました。

W:高校生の頃のヘアアレンジも雑誌を見たりしながらやっていたんですよね?

K:はい。高校生の時に文化祭でヘアショーみたいなものをやる機会があって、それがすごく楽しかったんです。

W:どんなショーですか? ウォーキングとかやったのですか?

K:自作自演で、自分たちでお互いにやって、自分たちが歩くという(笑)。

W:佳恵さんも歩いた?

K:歩きました(笑)。

W:その時はどんな髪型に?

K:私のテーマがエキゾチックだったので、日本の帯に和の柄のスカート、上がシンプルな黒のメッシュ素材の半袖で、髪型がリーゼントだった気がします。

W:リーゼントって、エキゾチック?(笑) メイクもして?

K:メイクもすごく濃くして、カラコンも流行っていたので、カラコンもつけて。

W:何色ですか?

K:グレー(笑)。今、思うと、ちょっとおもしろいですよね。

W:よく考えられたものですね。

K:みんなが憧れているおしゃれな2人がいて、その2人が中心になって企画してくれました。

W:自分でヘアアレンジをしたんですか?

K:自分のは他の人がやって、私も他の人のヘアアレンジをしていました。

W:楽しむという姿勢は、その時のことが基本になっていたりするんですかね?

K:たしかに、今思うと、すごく未完成なものだったかもしれないですけど、アイディアがおもしろかったなって。参加できたことが、とても刺激になりました。







W:今、ドールズで展示をやっていて、おもしろいな、楽しいなという気持ちに通じているような印象を持ちました。話は変わりますが、好きなヘアスタイルとかアレンジはありますか?

K:極力、自然な方が好きかもしれません。ついついコテコテさせてしまうのですが、たぶん好みは自然体で、だけどちょっとセットされているというのが好きです。あとは、昔のヘアスタイルがすごく好きです。

W:モダンガールのような?

K:そうですね。1920年代のフィンガーウェーブのあるスタイルや、それより前のおっきい頭とか。

W:それはナチュラルではないですよね(笑)。

K:そうですね(笑)。

W:日頃、美容師として感性を磨くためにしていることはありますか?

K:まだ勉強不足だなと感じているので、知識として、今の時代のものだけではなくて、昔のヘアスタイルやファッションが、どうしてこれはこういう形になっていくのかというような、1910年代ぐらいからの流れを勉強したい気持ちがあります。

W:お気に入りの喫茶店はありますか?

K:根津のノマドというカフェによく行っていたのですが、なくなっちゃったんです。

W:え? ノマド、なくなっちゃったんですか?

K:2月末で閉店してしまいました。

W:田口トモロオに似た店長さんがいたカフェですよね?

K:(笑)。そのご夫婦がまた素敵で、歳をとってしまってからでは、自分たちのやりたいことができなくなってしまうから、動けるうちにお店を閉めることにしたそうです。ああいう仕事をやっていると時間を拘束されてしまうらしく、自分たちで引き際を決めたそうです。

W:潔い生き様ですよね。

K:お店は、オープンするより閉める時の方が難しいのだろうなと思いました。

W:ノマドには、1人で行って読書したりとかしていたんですか?

K:はい。

W:どういう本が好きですか?

K:好きなジャンルは特になくて、佳代さんにすすめられた本とか、ここから行く時は、往来堂書店さんが途中にあるので、そこで気になった本を買って、ノマドさんに持って行って読んでいました。

W:好きな作家はいますか?

K:好きな作家と聞かれるといないんですけど(笑)、人の生き様や内面を描写している作品に惹かれます。最近読んで、自分がどういう職人になるのかを考えさせられたのが、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』です。

W:現代作品が好きですか?

K:現代作品も昔の作品も読みます。

W:いい意味で、変にこだわりがない部分も、佳代さんと一緒にやっていくのに良い感じなのかもしれませんね。

K:こだわりがないんです(笑)。

W:美容師さんとしてのこだわりは、もちろんあると思うのですけど、プライベートで何かを吸収する時に、変にこだわりがない方がいろんなものから学べるでしょうし、そこが佳恵さんの柔軟な部分なんでしょうね。

K:ありがとうございます(笑)。

W:好きなものが決まっていると、そればっかり読んでしまいますけど、こだわらなければ、これもおもしろいな、あれもおもしろいなと、それぞれのおもしろさを見比べることもできるから、そういう部分が佳恵さんの魅力的な部分なのではないでしょうか?

K:こだわりが欲しいです(笑)。なので、こだわりがある人に憧れます。こだわりがあるように見せたりするから、ボロが出る時があります(笑)。

W:雑多なものから吸収しているという(笑)、それも個性ですよね。この先、こんな風になっていきたいというイメージはありますか?

K:美容師はずっと続けていけたらなと思うのですが、もうちょっと、ゆったりしたいというのはあります。だらけるゆったりではなくて、他のものにも興味を持ちながらやっていけたらと。

W:みつあみバンド(※)で、ギターもやっていますよね。
(※ドールズとお客様たちとで組んでいるオーケストラバンド)

K:はい。趣味も楽しみながら、長く続けていけたらなと思います。

W:ところで、朝は何時頃に起きますか?

K:6時半ぐらいです。

W:早いですね。

K:寝るのがもったいないと思ってしまうタイプなんです。ゆっくり準備をしたり、家のことをしたりして、9時半前ぐらいに家を出て遠回りをして出勤するというのを、去年ぐらいからやっています。体力は結構ある方なんですが、最近、体力の衰えを感じていて、これを持続できたらなと思って歩いてみています。

W:余裕のある朝ですね。バタバタしてない。

K:バタバタできないんです(笑)。準備をしておきたいタイプです。バタバタすると、周りが見えなくなるので、自分に余裕を持ってないと人様に迷惑をかけてしまうんです(笑)。なので、待ち合わせの結構前に到着して、待ち合わせ場所を前もって確認しておきたいタイプです(笑)。

W:家に帰るのは22時過ぎぐらい?

K:はい。そこからは、ごはんを作るというよりは、あるものを食べるという。

W:あるものを食べる?

K:朝、ゆでた野菜を食べます。

W:ゆでるのは野菜だけ?

K:はい、野菜を。

W:肉や魚類は食べませんか?

K:私、結構、偏食かもしれなくて、お肉が不得意で、料理がすごくヘタなので、魚とか肉系を調理できないんですよ(笑)。

W:焼くだけになっちゃう?

K:焼くのも野菜とか目玉焼きを作るとか、えみさんがびっくりするぐらい料理できないんですよ(笑)。

W:そのままのものが出てくるという感じですか?

K:ごろんと(笑)。

W:ゆでた野菜を、そのまま食べるんですか?

K:塩とか(笑)

W:好き嫌いは?

K:ないと思っていたんですけど、あえて食べないものが多いので、お米を食べない日がずっと続いても全然気にならないです(笑)。

W:栄養は一体どこから摂っているんでしょう? たまさん(※)のお弁当から(笑)? 
(※たまさん=山本の夫。料理好き。ドールズの2人は、お昼のお弁当をたまさんに注文している)

K:だと思います(笑)。

W:料理はそんなに好きじゃないですか?

K:そうなんですよね。でも、最近それがちょっと変わってきていて、料理は楽しいかもしれないという気持ちが芽生えてきました。

W:リラックスするために、何かしていることはありますか?

K:最近は、お風呂で本を読んだりして体を温めています。体が硬くなってきているので、股関節を柔らかくする体操をしています。ペタッとつくようになるという本を参考に。最近、ちょっとずつ柔軟になってきた気がします。

W:体力が落ちているのは、どういう時に感じますか?

K:風邪を引きやすくなりました。何かが違うなという感じです。

W:風邪は、どれぐらいの頻度で引きますか?

K:年に2回ぐらい。

W:あんまり引いてないですね(笑)。

K:でも、これまで体調を崩すことがほぼなかったので(笑)。

W:ずっと立ちっぱなしだし、大変ですよね。佳恵さんの将来の夢は、もっとゆったりとしつつ、美容師の仕事を長く続けていきたいということですね。

K:そうですね、体力がないと、できないんだろうなと。

W:佳代さんの良い所は?

K:やっぱり、まっすぐな所ですね。突き進んでいく感じ。行動力がすごくあるので、いつも引っぱっていってもらっているというか、たぶん自分1人だったら、できなかったというのもあるので、本人は突入してしまう所を気にしているんですけど、そこがすごく魅力的だし、それで、みんなが集まって来てくれていると思うので、助けられています。

W:佳代さんへのメッセージを。

K:そのままで(笑)。

W:美容室に同期のアシスタントで入っても、相性とか巡りあわせで変わりますよね。

K:ほんとに恵まれていたなと思います。大体、同期というのは、仲が悪いというのが普通というか、ライバルになってしまうと思うので、同じ価値観で働けているというのは、ほんとにありがたいなと思っています。

W:今でも、仕事の始まる前に、お互いの思っていることを確認し合っているんですか?

K:最近は、月に1回、月初めミーティングというのを設けています。営業中は、いつも一緒にいるんですけど、話せていることが少ないので、こういうのはこうしたいねとか、話をするようにしています。

W:お店が始まる前に?

K:月の初めの仕事が終わった後に、ごはんを食べながらですね。

W:コミュニケーションを取るのが大事ですよね。アシスタントを取ったりはしないんですか?

K:今のところは考えていないのですが、もし、良い人に出会うことができたら、考え方を変えてもいいかとは思っています。

W:今日は、いろいろとお聞かせいただき、どうもありがとうございました。これからも、お2人のご活躍を期待しています。


K:ありがとうございました!


インタビューを終えての上條の感想→「これをきっかけに交換日記を読み返して、初心に戻れました。」

ここまで読んで下さった全ての方々、有り難うございました!!


谷中ドールズ
090-6185-8409

2017年5月24日水曜日

*ドールズ×渡辺えみさん インタビュー企画 1/4 えみさん⇨かよ


ドールズのお客さんである、ちぎり絵ライターの渡辺えみさん。
年に2回、「ポンポコパーティークラブマーケット」という手作り作家さんたちが出展するイベントを俳優の山脇唯さんとともに主催されています。
ドールズもポンポコパーティークラブマーケットの2回目に参加したことがあります。
いろいろご活躍されているえみさんですが、日頃から、ドールズ2人は、えみさんのインタビュー能力にも注目していました。
今回の企画では、えみさんから山本・上條それぞれにインタビューをしていただき、ドールズからも、えみさんにインタビューをしました。
そして、おまけ企画として、それぞれの谷中千駄木界隈で好きな食べもの(500円で買えるおいしいもの!)をご紹介します!

※4回に分けてブログに掲載いたします。
1回目、山本のインタビュー記事から。
谷中にお店を出すまでのことなどです!



〈渡辺→山本へのインタビュー〉

えみさん作 ちぎり絵・そっくりですね!


渡辺(以下、W):では、さっそくですが、美容師になろうと思ったきっかけを教えて下さい。

山本(以下、Y):高校生ぐらいまで、やりたいことがたくさんありすぎて、すごく迷っていた時に、小学1年生の頃に書いた「将来の夢」というタイトルの作文を見つけて、そこに、パーマ屋さんになりたいと書いてあったんです。やりたいことの中に、いつも美容師は入っていたので、これはきっかけだなと思って、両親にも相談してみたら、手に職をつけることを応援してくれたので、それでなってみたいなと思い、美容学校に行き、卒業して、迷うことなく美容室に就職しました。

W:それで、東京の美容室に?

Y:はい。東京の専門学校に通っていた時に、バイトしていた喫茶店のオーナーの髪型がいつも素敵だなと思って、どこの美容室に行っているのかを聞いて、その美容室に見学に行ってみたんです。その時に、スタイリストさんが、80代ぐらいのおばあちゃまの手を引きながらお見送りをしていて、おばあちゃまが、「ほんとにありがとうね」と何回も言いながら帰って行く姿を見て、すごくいいお店だなと思って、面接させていただいて就職できました。

W:それで、晴れて希望の美容室に就職することができて、そこで佳恵さんと出会ったんですね。

Y:はい、そこで出会いました(笑)。

W:初めて佳恵さんに会った時の印象は?

Y:初めて会ったのは、表参道駅の改札を出た所に、なんか、すごい目立っている人がいて、あ、気になるあの人! と思った人が上條さんだったんです(笑)。その日が美容室の顔合わせの日で、お店に行ったら、さっき見た気になる人がそこに座っていて、あれ? みたいな(笑)。

W:その美容室に何年勤めたんですか?

Y:8年半ぐらいです。

W:初めの頃は髪を切ったりはできないですよね? 髪を洗ったりとかするのですか?

Y:初めの頃は洗ったりもできなくて、掃除です。「フロアクリーン」という名のほうきでフロアを掃くということを、まずさせてもらって、営業後にシャンプーやブローの練習などをして、試験に合格すると、スタイリストデビューできるという流れです。

W:それは、どれぐらいの日数がかかるんですか?

Y:お店や人によるのですが、シャンプーに入るまでは、3、4ヶ月ぐらいかかると思います。

W:初めて切ったのは?

Y:いつだったんだろう…、記憶が定かではないんですけど、5、6年ぐらいかかったと思います。

W:結構、切るまでにかかるんですね。

Y:それまでは、営業後にモデルさんにお願いして練習していました。

W:初めて切ったお客さんのことは覚えていますか?

Y:覚えています。

W:どんな人でしたか?

Y:それは、本当に切ない思い出なんですけど(笑)、私は試験に合格とかではなく、ある日、急に先輩に「入って」と言われて入ったんです。そのお客様は、髪の毛が長くて多い女性の方でした。本来は、男性のカットからデビューするという決まりがあったのですが、私のできが、たぶん遅れていたからなのか入らせてくれて。女の人だけど入っていいよって言われて入ったのですけど、お客様に、「明日、誕生日なんです」って言われて、そんな大切な日に私ですみません! みたいな気持ちになって、手から汗が出て(笑)、冷や汗がすごかったっていう印象ですね。

W:冷や汗をかきながら、全力でカットしたわけですね。

Y:ドライヤー持っては汗、ハサミ持っては汗で、キラキラキラキラ手が光っていました。たぶん、お客様にもばれていたんだろうなって思います。

W:カットしながら、どんなことをしゃべっていたか覚えていますか?

Y:あたふたしすぎて、変なこと話していたと思います(笑)。

W:覚えていない?

Y:全然覚えていないです。「誕生日です」と言われたことが、ものすごいプレッシャーとなっていたので(笑)。

W:それからは、場数をこなすというか、何人も切ることで腕を上げていくという感じですよね。

Y:10年やったら一人前みたいな言葉があると思うのですが、10年経っても、一人前とは全然思わないんですけど、10年間は、わからないことがほんとにいっぱいありました。気持ちに余裕が持てるようになったのはここ数年で、20歳で入社して、独立して2年後の30歳の時も、まだ不安がすごくありましたし、お客様の反応がとても気になったりとか自信がない部分が今よりずっとあったんじゃないかなと、正直思います。

W:今は旅行に行ったり、感性を磨いたりする時間を作ることもできると思うのですが、自分のお店を持つまでは、そういう時間もとりにくかったですか?

Y:旅行にはほぼ行っていなくて、お休みはあまりなかったです。それでも吸収できる人は、もちろんいると思うのですけど、働いているなかで、美容師さん自身が感性を磨いていかないと仕事につながらないので、そういう時間を、もう少し作ることも考慮して、ドールズで展示したりすることもその1つなんですけど、お客様に喜んでいただきたいというのが半分、自分たち自身も、そういう感性に触れていたいというのが半分で、ゆくゆくは、ためになることをやっていきたいなと働きながら思っていました。

W:佳恵さんと一緒にお店を持ちたいという話が出たのは、自然のなりゆきだったんですか?

Y:そうですね。社長がいろいろな話をしてくれる人で、「オレは25歳で独立した」と話してくれていたので、25歳で独立しなきゃいけないって勝手に思っていて(笑)、24歳ぐらいから、一緒にやろうか? と佳恵さんと独立の話をし始めるようになり、交換日記を始めて、自分たちの考え方を整理するために、やりとりをし合っていました。

W:どんなことを書いていたんですか?

Y:どんなお店を作りたいかという意見のやりとりや、少しでもたくさんのお客様に付いていただく工夫などをやりとりしていました。あとは、サロンワーク中の反省点とか、自分のこういう所が足りなくてごめんねとかを、お互いに(笑)。あと、これは脱線するかもしれませんが、きっかけみたいなものがあって、ジョン・クラカワーの『荒野へ』という本が『イントゥ・ザ・ワイルド』というタイトルで映画化されていて、それを観たのが25、6歳の時で、その映画の中の言葉がずっと心に残っていて。

W:どんな言葉ですか?

Y:幸せとは、自分1人で得られるものではなく、他人と共感したことで初めて幸せと思える、というような言葉です。ちなみに、主人公は孤独死してしまいます。それを観た時に、ほんとにそうだなと共感して。自分だけがじゃなくて、佳恵さんも同じ気持ちでとか、お客様もとか、関わっている人がみんなで楽しいよねとか、がんばったねと思ってやれることが、たぶん一番楽しいんだろうなって思って。そこからは、ワーッと湧いてきて、こうやりたい! ってとまらなくなったんです(笑)。

W:後押ししてくれる言葉に出会ったんですね。

Y:はい。あとは、やっぱり高校の時の影響が私の場合はすごく大きくて、周りの人がおもしろい人が多かったんです。属さない人たちが多くて、個性をみんなで認め合うみたいな感じで、尊敬し合って友達づきあいをしていました。その時のことが結構大きかったというか、それまで、そういう人たちに会ったことがなかったので、そこで触発されて。働いている時も、仲良くさせてもらっていたお客様がいて、その人も個性を生かした仕事を推奨してくれていて、自分ができることを、それぞれしていった方がいいと思うという話をされていたことが心に残っていて、佳恵さんの良さと自分のできることを足していけたら、すごくいいなと思って、それからは、タカタカタカとパズルがそろっていった感じですね(笑)。

W:お店を開く場所の候補は、他にもあったのですか?

Y:前のお店は老舗だったので年齢層が幅広かったんです。なので、おばあちゃまとか自分たちの年齢層ではない人たちのカットやブローができたので、老若男女が集うような下町や地域密着でできる場所を探しました。

W:いくつか候補の場所はあったのですか?

Y:いくつかありました。それで、探しているときに、3.11があって、ちょっと探すのをとめたんですけど、頭の中を整理した時に、この場所はお客さんが来るから、ここがいいだろうというのではなくて、シンプルに好きな町でやりたいって思ったんです。明日があるかわからないみたいな気持ちになって。その時に2人で谷中に遊びに来た時のことを思い出して、あそこ、そういえば、いい町だったよねって話になって散歩に来て。さゆり美容室ってご存知ですか?

W:わかります。

Y:初めて谷中に来た時に、さゆり美容室を見て感動して、将来、ああいう一軒家で縁側があってみたいな感じのお店をやりたいなと思った記憶がよみがえってきて、そんな素敵な美容室がある町、いいなあと思っていたら、この場所が空いていて、すごく縁を感じたんです。

W:内装は自分たちと友人関係で一緒にやったんですよね?

Y:さっきの言葉に触発されて(笑)、いろんな人とやりたいなと思って。

W:お店で展示をやり始めたのは、オープンしてから、どれぐらいに?

Y:オープンしてすぐの頃からです。展示をやりたいと最初から思っていたので、最初の段階で始めました。

W:美容室で展示をすることは、他の美容室でもやっていた所があったのですか?

Y:近頃は、お洋服屋さんが一緒にカフェをやったり雑貨を売ったりもしていますし、美容室も雑貨を売ったりとかヘアアクセサリーを売ったりする所が結構多いなと思いますが、その当時は、どこもやっていなかったので、というか知らなかったので、新しいことを思いついた、やったー! というような気持ちでやりました(笑)。

W:自分たちで企画もして楽しんでいる美容室は、あんまりないですよね。

Y:そうかもしれないですね。誰かに任せたりしているかもしれませんね。

W:本当に好きじゃなかったら、企画を立てることもできないでしょうし。

Y:最近、お店を作ることが好きだなということに気がついたんです。

W:お店を作ることが好きというのは、たとえば喫茶店を作るとかではないですよね?

Y:そういうことではなくて、関わる人たちが、それぞれにできることを発揮できるような、そういうお店を作りたくて、自分は美容師という仕事ができるので、美容師という立ち位置ですけれど、それともう1つの顔で、お店という場所を作るという。趣味というものなのかもしれない(笑)。

W:話は変わりますが、好きなヘアアレンジやヘアスタイルはありますか? 

Y:昔の人の髪型や服装、ふるまい、言葉づかいなど、今みたいに情報があふれている時代ではなくて、毎日を丁寧に生きている時代の女性たちのヘアスタイルとか、その時代の女性の考え方や生き方に憧れがあります。

W:日本人ですか?

Y:日本人とか外国人とか思ったことはなくて、1920年代以降のファッションの歴史が好きで、それにともなう髪型の流れとかがおもしろくて好きです。髪型も好きなのですが、社会とともにヘアスタイルも変わっていくことがおもしろいと感じるので、そこだけ執着して好きというのではなくて、今の流行りとかトレンドも好きですし、これだけが好きという感じではないかもしれないですね。

W:1920年代というと?

Y:西洋だとコルセットを外して現代に近い服になったりとか、ファッションがイキイキしてくる時代の始まりで、日本だと明治と大正の間あたりの大正ロマンとかモボモガとか。

W:日本髪ではなくなった頃?

Y:長くて結い上げていた髪の毛が短くなってくる時代ですかね。西洋の文化を取り入れ始めて、おしゃれを楽しむ時代になっていって。竹久夢二とかも好きです。

W:この先、美容室をやりながら、こんな風になっていきたいなというイメージはありますか?

Y:これからは、気持ちの面で隙間を持って快適に仕事を続けたいです。答えになっているのかな(笑)? 独立して、5、6年やってきて、これは無理しているなとか、もっといけるなとかが段々わかってきたので、わかってきたからこそ、より良い働き方とか楽しく仕事を続けることをしていきたいです。

W:気持ちの面での隙間というのは、もうちょっと、こういう時間があったらいいなとか、そういうことですか?

Y:時間というよりも、引き出しにパンパンにモノを詰めているような感じではなくて、8割とか9割ぐらい詰めておいて、あとは何もしなくていいとか、脳みそに少し余白を作りたいなと思っていて。性格もあるのですけど、今はいろいろ考えてやりたくなっちゃうし、お客様もたくさんカットしたい! とか、したいしたいが多過ぎて、ちょっと隙間がなくなっちゃってるなと感じるので、その調整を(笑)。

W:リラックスする時間を作りたいということ?

Y:というより、余白時間を作って考え方をもうちょっと柔軟にして働きたいなと思っています。

W:考え方を柔軟にしたいなという出来事があったのですか?

Y:昨日、知人に、「佳代さん、いつもマジですよね」って言われまして(笑)、たしかに、力が入っちゃうので、もうちょっとリラックスしたいです。でも、それを佳恵さんに言ったら、「仕事で力抜いたら、あんまり良くないんじゃない?」と言われて(笑)。なんていうんだろう、力んでいる気がする(笑)。

W:つい本気になっちゃうみたいな?

Y:そうですね。もう少し深呼吸したいなと。いつも過呼吸みたいな(笑)。その分、家ですごく怠惰になっちゃってるので、家でも仕事でも同じぐらいにしたいです。ちょうどよく力み、ちょうどよく緩める。仕事というか、生き方を(笑)。

W:これからは、お店としてはどんな所に向かっていきたいですか? 

Y:今年は、あえて長い先の計画はせずにいようと思っています。あとは、「人と人とのつながりで、笑顔をたくさん送り出せるお店をめざす」というのが、ドールズのコンセプトの1つなので、人を介して何かをすることは続けたいし、笑顔をいっぱい送り出せるお店でいたいというのは変わらずに思っています。

W:最後に、佳恵さんへメッセージをお願いします。

Y:いつもありがとうございます。お互いにないものをおぎない合いながら、これからも仲良くやっていきましょう。

W:佳恵さんの良い部分を教えて下さい。

Y:心が広い。そして、聞き上手。本人は頑固だと言っていますが、私はそうは思わなくて。ちゃんと意見も言ってくれるんですけど、柔軟に楽しんでくれる。私みたいに前しか見えなくなる人を支えてくれています。

W:今日は、いろいろお話を聴かせていただき、ありがとうございました。


Y:こちらこそ、ありがとうございました!




インタビューを終えての山本の感想⇨「私ってほんと話すのが好きだなあ。」

ここまで読んでくださった全ての方々、ありがとうございました!



谷中ドールズ
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