ドールズのお客さんである、ちぎり絵ライターの渡辺えみさん。
年に2回、「ポンポコパーティークラブマーケット」という手作り作家さんたちが出展するイベントを俳優の山脇唯さんとともに主催されています。
ドールズもポンポコパーティークラブマーケットの2回目に参加したことがあります。
ドールズもポンポコパーティークラブマーケットの2回目に参加したことがあります。
いろいろご活躍されているえみさんですが、日頃から、ドールズ2人は、えみさんのインタビュー能力にも注目していました。
今回の企画では、えみさんから山本・上條それぞれにインタビューをしていただき、ドールズからも、えみさんにインタビューをしました。
そして、おまけ企画として、それぞれの谷中千駄木界隈で好きな食べもの(500円で買えるおいしいもの!)をご紹介します!
※4回に分けてブログに掲載いたします。
〈渡辺→上條へのインタビュー〉
W:美容師になろうと思ったのは、いつ頃ですか?
上條(以下、K):私の場合は、小学校の卒業文集に「将来、美容師になります」という宣言を書いていたんです。でも、美容室に行ったのは高校生になってからで、それまでは、母親か床屋さんで切ってもらっていて、美容室には行ったことがなかったんです。なのに、なぜか美容師になりたい宣言を(笑)。たぶん、美容室に行ったことがなかったから、憧れを抱いていたのかもしれません。
W:小学校の頃は、自分の髪の毛をアレンジしたりしていたんですか?
K:まったくやっていなかったです。基本かりあげで、アレンジとかにはまったく興味はなくて、中学校までは、もはや男子と同じで、兄と常に喧嘩している感じでした(笑)。
W:ご兄弟は?
K:兄と妹です。いつも男の子に間違えられていて、ほんとに疑問になるくらい、なぜか美容師を目指していました(笑)。
W:他にやりたい職業はあったんですか?
K:それがなかったんですよね。ずっと美容師になるというのを、なんとなく目標にしていました。
W:高校生に入ってからは、どんなヘアスタイルでしたか?
K:いろいろしていました。高校が自由な学校で、私服でカラーもピアスもオッケーで、パーマもグルグルにかけてみたりとか。でも、進学校だったので、今思うと、少し浮いていたのかなと思います(笑)。ファッションも路頭に迷っている感じで(笑)、ちょっと激しめだったり、ロックバンドに憧れてロックっぽい感じになってみたり。
W:好きなロックミュージシャンがいたんですか?
K:誰に憧れていたわけでもなく、自分の中でのロックっぽい感じに(笑)。
W:革ジャン着たりとか?
K:革ジャンは着ていなかったんですけど、服は好きでした。なので、古着屋さんに行ってイメージに近い服を選んでいました。
W:高校時代に東京へ遊びに行ったことは?
K:高校3年生の夏休みに美容学校を探しに、一週間、ウィークリーマンションを借りて来ていました。同級生で、東京の美容学校に行きたいという人がいたので、その人と2人で部屋を借りました。その当時、夏休みなどに美容学校を開放して、学生さんたちに見せてくれる場を設けていたので、そこに一緒に見学に行きました。
W:美容学校から就職する時は、いくつか受けたんですか?
K:行きたかった所を受けたんですけど不合格で、たまたまペーパードールの先生が私の学校に講習に来たことがあって、私は講習は受けていなかったのですが、人づたえにドライカットというカット技法でやっている美容室があったよという話を聞いて、興味を持って面接を受けに行きました。
W:それで、無事に合格して。
K:はい。
W:佳代さんと初めて会った時は、どんな印象でしたか?
K:就職先の美容室での顔合わせに行く途中、表参道駅から地上に出た所におしゃれな美容室があるのですが、そのお店の前で雨宿りしている女の子がいたんです。可愛い女の子だなあと思いながら、就職先の美容室に行きまして、座って待っていたら、あれ?
あのこ来た!って、びっくりして。
W:それが佳代さんだったんですね。
K:そうです、それが佳代さんで、びっくりしました。
W:じゃあ、お互いに見初め合ったという。
K:はい(笑)。
W:美容室で働き始めの頃は、早く髪を切りたいという気持ちがありましたか?
K:そうですね。入社すぐは、まず掃除で、掃除をしている時は、お客さんに触れることはほとんどなかったので、早くお客さんに入りたいなというのはありました。カットではなくてもシャンプーとか。3人いたので仕事がなくて、誰が一番にその仕事をやるかによって手が空いちゃうので、常に、次、何したらいいんだろうって思っていました。
W:初めて切ったお客さんのことは覚えていますか?
K:覚えています。顔はまったく覚えていないんですけど、髪質と男性だったということは覚えています。
W:髪質はどんな感じでしたか?
K:硬かったんです、すごく。基本は男性から入らせてもらうんですけど、その時に思ったのが、男性の方が難しいんじゃないかって。やっぱりショートで硬い毛だと、自分が切ったシルエットがそのまま出てしまうので、切りながら、あ、どうしよう、と思っていて、会話も覚えていないですね。
W:初めての時は、髪質は覚えていても、何をしゃべったかは、あまり覚えていないものなんですね。
K:まったく覚えてないですね。会話はしてたのかな…?
W:無言ではやらないですよね?
K:無言になるのが怖い感じですね。しゃべって相手の気を紛らせるみたいな(笑)。
W:美容師さんは、しゃべりながら技術も磨かなければいけないから、2つのことを同時に求められて大変ですよね。おしゃべりが苦手な人もいるでしょうから、初めはやっぱり難しいですよね。
K:難しいですね。今でも、ここは絶対失敗できないという時には無言になって集中してしまいますね。あと、しゃべっていても、ちゃんと聞けていないんじゃないかと(笑)。
W:お店を佳代さんと一緒にやろうということになって、交換日記をされていたとのことですが、初めに日記をもらった時はどんな風に思いましたか?
K:お店で働いている時は、公にはそういう話はできないので、すごいナイスアイディア!
と思っていました。書くことで自分の気持ちも高めることができたり、相手の気持ちもわかるので、始めて良かったです。
W:日記はいつまでやっていたのですか?
K:独立するまでやっていたんじゃないかな。
W:独立したのは?
K:28歳です。師匠は24、25歳で独立していて、いつかは一人立ちをしなければいけない職業だと言ってくれていたこともあり、独立するには、まずお金を貯めなければならないことも師匠が伝えてくれていたので、まずはこれぐらいの金額を目標にがんばろうみたいな話になりました。
W:資金も貯めて、しっかり準備して独立をしたんですね。
K:たぶん純粋だったんでしょうね(笑)。だから、師匠が言ってくれていたことを忠実にやらなきゃってなっていたのだと思います。
W:いろんな髪型を勉強すると思うのですが、自分なりに工夫などしていたことはありますか?
K:基本的には、自分がお店の商品であり看板なので、お店で髪を切ってもらっていたので、勉強となると、街の人を見たり、お店にあった美容雑誌を見たりしていました。
W:高校生の頃のヘアアレンジも雑誌を見たりしながらやっていたんですよね?
K:はい。高校生の時に文化祭でヘアショーみたいなものをやる機会があって、それがすごく楽しかったんです。
W:どんなショーですか? ウォーキングとかやったのですか?
K:自作自演で、自分たちでお互いにやって、自分たちが歩くという(笑)。
W:佳恵さんも歩いた?
K:歩きました(笑)。
W:その時はどんな髪型に?
K:私のテーマがエキゾチックだったので、日本の帯に和の柄のスカート、上がシンプルな黒のメッシュ素材の半袖で、髪型がリーゼントだった気がします。
W:リーゼントって、エキゾチック?(笑) メイクもして?
K:メイクもすごく濃くして、カラコンも流行っていたので、カラコンもつけて。
W:何色ですか?
K:グレー(笑)。今、思うと、ちょっとおもしろいですよね。
W:よく考えられたものですね。
K:みんなが憧れているおしゃれな2人がいて、その2人が中心になって企画してくれました。
W:自分でヘアアレンジをしたんですか?
K:自分のは他の人がやって、私も他の人のヘアアレンジをしていました。
W:楽しむという姿勢は、その時のことが基本になっていたりするんですかね?
K:たしかに、今思うと、すごく未完成なものだったかもしれないですけど、アイディアがおもしろかったなって。参加できたことが、とても刺激になりました。
W:今、ドールズで展示をやっていて、おもしろいな、楽しいなという気持ちに通じているような印象を持ちました。話は変わりますが、好きなヘアスタイルとかアレンジはありますか?
K:極力、自然な方が好きかもしれません。ついついコテコテさせてしまうのですが、たぶん好みは自然体で、だけどちょっとセットされているというのが好きです。あとは、昔のヘアスタイルがすごく好きです。
W:モダンガールのような?
K:そうですね。1920年代のフィンガーウェーブのあるスタイルや、それより前のおっきい頭とか。
W:それはナチュラルではないですよね(笑)。
K:そうですね(笑)。
W:日頃、美容師として感性を磨くためにしていることはありますか?
K:まだ勉強不足だなと感じているので、知識として、今の時代のものだけではなくて、昔のヘアスタイルやファッションが、どうしてこれはこういう形になっていくのかというような、1910年代ぐらいからの流れを勉強したい気持ちがあります。
W:お気に入りの喫茶店はありますか?
K:根津のノマドというカフェによく行っていたのですが、なくなっちゃったんです。
W:え? ノマド、なくなっちゃったんですか?
K:2月末で閉店してしまいました。
W:田口トモロオに似た店長さんがいたカフェですよね?
K:(笑)。そのご夫婦がまた素敵で、歳をとってしまってからでは、自分たちのやりたいことができなくなってしまうから、動けるうちにお店を閉めることにしたそうです。ああいう仕事をやっていると時間を拘束されてしまうらしく、自分たちで引き際を決めたそうです。
W:潔い生き様ですよね。
K:お店は、オープンするより閉める時の方が難しいのだろうなと思いました。
W:ノマドには、1人で行って読書したりとかしていたんですか?
K:はい。
W:どういう本が好きですか?
K:好きなジャンルは特になくて、佳代さんにすすめられた本とか、ここから行く時は、往来堂書店さんが途中にあるので、そこで気になった本を買って、ノマドさんに持って行って読んでいました。
W:好きな作家はいますか?
K:好きな作家と聞かれるといないんですけど(笑)、人の生き様や内面を描写している作品に惹かれます。最近読んで、自分がどういう職人になるのかを考えさせられたのが、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』です。
W:現代作品が好きですか?
K:現代作品も昔の作品も読みます。
W:いい意味で、変にこだわりがない部分も、佳代さんと一緒にやっていくのに良い感じなのかもしれませんね。
K:こだわりがないんです(笑)。
W:美容師さんとしてのこだわりは、もちろんあると思うのですけど、プライベートで何かを吸収する時に、変にこだわりがない方がいろんなものから学べるでしょうし、そこが佳恵さんの柔軟な部分なんでしょうね。
K:ありがとうございます(笑)。
W:好きなものが決まっていると、そればっかり読んでしまいますけど、こだわらなければ、これもおもしろいな、あれもおもしろいなと、それぞれのおもしろさを見比べることもできるから、そういう部分が佳恵さんの魅力的な部分なのではないでしょうか?
K:こだわりが欲しいです(笑)。なので、こだわりがある人に憧れます。こだわりがあるように見せたりするから、ボロが出る時があります(笑)。
W:雑多なものから吸収しているという(笑)、それも個性ですよね。この先、こんな風になっていきたいというイメージはありますか?
K:美容師はずっと続けていけたらなと思うのですが、もうちょっと、ゆったりしたいというのはあります。だらけるゆったりではなくて、他のものにも興味を持ちながらやっていけたらと。
W:みつあみバンド(※)で、ギターもやっていますよね。
(※ドールズとお客様たちとで組んでいるオーケストラバンド)
K:はい。趣味も楽しみながら、長く続けていけたらなと思います。
W:ところで、朝は何時頃に起きますか?
K:6時半ぐらいです。
W:早いですね。
K:寝るのがもったいないと思ってしまうタイプなんです。ゆっくり準備をしたり、家のことをしたりして、9時半前ぐらいに家を出て遠回りをして出勤するというのを、去年ぐらいからやっています。体力は結構ある方なんですが、最近、体力の衰えを感じていて、これを持続できたらなと思って歩いてみています。
W:余裕のある朝ですね。バタバタしてない。
K:バタバタできないんです(笑)。準備をしておきたいタイプです。バタバタすると、周りが見えなくなるので、自分に余裕を持ってないと人様に迷惑をかけてしまうんです(笑)。なので、待ち合わせの結構前に到着して、待ち合わせ場所を前もって確認しておきたいタイプです(笑)。
W:家に帰るのは22時過ぎぐらい?
K:はい。そこからは、ごはんを作るというよりは、あるものを食べるという。
W:あるものを食べる?
K:朝、ゆでた野菜を食べます。
W:ゆでるのは野菜だけ?
K:はい、野菜を。
W:肉や魚類は食べませんか?
K:私、結構、偏食かもしれなくて、お肉が不得意で、料理がすごくヘタなので、魚とか肉系を調理できないんですよ(笑)。
W:焼くだけになっちゃう?
K:焼くのも野菜とか目玉焼きを作るとか、えみさんがびっくりするぐらい料理できないんですよ(笑)。
W:そのままのものが出てくるという感じですか?
K:ごろんと(笑)。
W:ゆでた野菜を、そのまま食べるんですか?
K:塩とか(笑)
W:好き嫌いは?
K:ないと思っていたんですけど、あえて食べないものが多いので、お米を食べない日がずっと続いても全然気にならないです(笑)。
W:栄養は一体どこから摂っているんでしょう? たまさん(※)のお弁当から(笑)?
(※たまさん=山本の夫。料理好き。ドールズの2人は、お昼のお弁当をたまさんに注文している)
K:だと思います(笑)。
W:料理はそんなに好きじゃないですか?
K:そうなんですよね。でも、最近それがちょっと変わってきていて、料理は楽しいかもしれないという気持ちが芽生えてきました。
W:リラックスするために、何かしていることはありますか?
K:最近は、お風呂で本を読んだりして体を温めています。体が硬くなってきているので、股関節を柔らかくする体操をしています。ペタッとつくようになるという本を参考に。最近、ちょっとずつ柔軟になってきた気がします。
W:体力が落ちているのは、どういう時に感じますか?
K:風邪を引きやすくなりました。何かが違うなという感じです。
W:風邪は、どれぐらいの頻度で引きますか?
K:年に2回ぐらい。
W:あんまり引いてないですね(笑)。
K:でも、これまで体調を崩すことがほぼなかったので(笑)。
W:ずっと立ちっぱなしだし、大変ですよね。佳恵さんの将来の夢は、もっとゆったりとしつつ、美容師の仕事を長く続けていきたいということですね。
K:そうですね、体力がないと、できないんだろうなと。
W:佳代さんの良い所は?
K:やっぱり、まっすぐな所ですね。突き進んでいく感じ。行動力がすごくあるので、いつも引っぱっていってもらっているというか、たぶん自分1人だったら、できなかったというのもあるので、本人は突入してしまう所を気にしているんですけど、そこがすごく魅力的だし、それで、みんなが集まって来てくれていると思うので、助けられています。
W:佳代さんへのメッセージを。
K:そのままで(笑)。
W:美容室に同期のアシスタントで入っても、相性とか巡りあわせで変わりますよね。
K:ほんとに恵まれていたなと思います。大体、同期というのは、仲が悪いというのが普通というか、ライバルになってしまうと思うので、同じ価値観で働けているというのは、ほんとにありがたいなと思っています。
W:今でも、仕事の始まる前に、お互いの思っていることを確認し合っているんですか?
K:最近は、月に1回、月初めミーティングというのを設けています。営業中は、いつも一緒にいるんですけど、話せていることが少ないので、こういうのはこうしたいねとか、話をするようにしています。
W:お店が始まる前に?
K:月の初めの仕事が終わった後に、ごはんを食べながらですね。
W:コミュニケーションを取るのが大事ですよね。アシスタントを取ったりはしないんですか?
K:今のところは考えていないのですが、もし、良い人に出会うことができたら、考え方を変えてもいいかとは思っています。
W:今日は、いろいろとお聞かせいただき、どうもありがとうございました。これからも、お2人のご活躍を期待しています。
K:ありがとうございました!
インタビューを終えての上條の感想→「これをきっかけに交換日記を読み返して、初心に戻れました。」
ここまで読んで下さった全ての方々、有り難うございました!!
谷中ドールズ
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